迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。


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私の名前は、花宮 唯(はなみや ゆい)、24歳。
小さい頃から憧れていた化粧品会社に入社して3年目。


…私にはどうしてもこの会社に入社したい理由があった。


私には年の離れた姉がいた。
いる…ではなく、いたのだ。


姉はとても美しく幼い頃から私と違って成績も優秀、まさに才色兼備という言葉がぴったりの女性だった。
私は美しく優しい姉が大好きだった。
憧れの存在だった姉に近づきたくて、いつも後ろを追いかけていたのだ。


「お姉ちゃん、私もいつかお姉ちゃんみたいな美人さんになりたい。」

「大丈夫よ、唯ちゃんはきっと私より美人さんになって幸せになるわよ。」


しかし私が15歳の夏。

その日は朝から蒸し暑く汗が止まらない不快な日だった。


高校に行っていた私に、自宅から緊急連絡が入りすぐに病院まで来るようにと言われたのだ。
訳も分からず急ぎ駆けつけた私だが、嫌な胸騒ぎと暑さで吐き気がするほどだった。


案内された病室に行くと、そこには白い布を被った人が寝ていた。
その周りには、父と母が項垂れて涙を流しているではないか。


「…なにこれ!」


私は思わず大きな声を出した。
出さずにはいられなかったのだ。


これから知る事実がどんなに辛いことか想像がついた。


そこに寝ていたのは大好きな姉。


すぐには信じることが出来なかった。
それに、信じたくも無かったのだ。


姉の死因を聞いたのは、それから少しして落ち着いた頃だった。
スピード出し過ぎたトラックに撥ねられて、帰らぬ人となってしまったそうだ。

なんて人間は儚いのだろう。
それ以来、私の胸には大きな穴があいてしまった。



その姉がいつもお気に入りでつけていた口紅が、ブラックローズ社の深紅の口紅。

今では大切な形見となり、私のお守りとなっている。

いつか自分もこの口紅が似合う女性になりたかった。

それから数年後、私は憧れのブラックローズ社に入社したのだ。







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