捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 遺族が買い取りを望まなかった場合も、適切な不動産屋を紹介し、賃貸に出せるように面倒を見ることもあるという。
「あとは、亡くなった冒険者の遺言で、組合に家が寄贈されることもあるし」
 冒険者の中には身内がいない人というのもかなり大勢いるそうだ。それらの冒険者達は、後進のために自分の財産を寄付することもある。そういう物件は組合の方で管理し、希望者に貸したり売ったりすることもあるのだとか。
「見てみる?」
「いいの?」
「集合住宅も一棟持っているから。ちょうどそこ、空きがあったと思うの。ちょっと待ってて」
 と、マーガレットはいったんカウンターの奥に消えた。きっと、奥から書類を持ってくるのだろう。
(ちょっと勉強不足だったわね)
 ロシードの組合が集合住宅まで持っているとは思ってもいなかった。それがわかっていたら、もうちょっと早く家を借りられるように動き始めたのに。
「ええと、これ、この建物。組合から歩いて数分ってところかしら」
「いいわね、それ。治療所で待機する日も楽だし」
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