捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 組合の宿泊施設には利用期限があるわけではないが、そろそろ出た方がいいのではないかという気もし始めている。
「それに、料理とかお菓子作りとかもしてみたいし」
 図書館に行ってみたら、レシピ本もいっぱいあった。それらの中には、今まで野外でのスープづくり以外ほとんど料理したことのないイオレッタでも作れそうな品が多数掲載されていた。
 調理設備の整っている部屋を借りれば、料理やお菓子作りに挑戦することもできる。それならそれで、新しい趣味を開拓した言ってもいいのではないだろうか。
「そうねぇ……うちでもいくつか賃貸物件はあるんだけど」
「冒険者組合で?」
「ええ。たとえば、ロシードを拠点としていた冒険者パーティーが全滅した時、彼らの持ち家を組合の方で買い取ることもあるのね」
 永住を決めた冒険者の場合、家を買ってそこで暮すこともあるそうだ。持ち家のある冒険者が死亡した時は、組合の方で買い取り、代金は遺族に渡されることになるのだそうだ。
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