捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
第七章 二度と家には帰らないと言ったらどうするの?
ベルライン家の馬車を見てから三日後のこと。
 嫌な予感は覚えたものの、きっとイオレッタが過敏すぎたせい。あの人達が、イオレッタのことを気にかけているはずもない。
 今度馬車を見かけたら、隠れてしまえばいい。気づかれたところで、きっと大ごとにはならないだろうし。
 そんなわけで、ひさしぶりに薬草の採取に出かけた。組合に戻って清算しようとしていたところで、組合長に呼び止められた。
「イオレッタ、しばらく、こちらには来ない方がいい」
「どうしたんですか?」
「王族がこちらに来るんだ」
 王族という言葉に、思わず眉間に皺を寄せる。できれば、関わりたくない人種だ。わかった、とうなずいたけれど、来ない方がいいという理由はわからない。組合長はさらに続けた。
「精霊使いは貴重な存在だろう? 若い女性ともなると、王族に目をつけられる可能性も高い」
「……なるほど」
 過去はともかく今のイオレッタは平民だ。
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