捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 どうやら、イオレッタがいなくなったことで、精霊達もベルライン領を離れる者が増えたらしい。
 とはいえ、精霊師であるイオレッタがいなくても、居心地のいい場所であれば精霊は離れることはない。
 それはきっと、今のベルライン領が精霊にとっては居心地の悪い場所になってしまった、というだけの話。
「戻りませんよ。私のことは恥さらしだって、そう言ったのはあなた達でしょう?」
「お前が、精霊を使えるということを隠していたからだ! ベルライン家の娘なら、ベルライン家のために尽くすのが当然だろう。なぜ、隠した!」
 以前は父と呼んだ人がイオレッタに向かって叫ぶ。
 けれど、イオレッタの心は不思議と動かないまま。かつては、この人に愛されたいと願ったこともあったはずなのに。
「イオレッタ、戻ってきてはもらえないか」
 次にイオレッタを懐柔にかかってきたのは、元婚約者だった。今はシャロンの夫になったトラヴィスである。
「君がいてくれないと、俺はだめなんだ」
「あら、そう」
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