捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 実家にいた頃、伯爵に手を上げられたことはなかったから、彼はイオレッタの身体能力がどれほどのものなのか知らない。けれど、これでも冒険者としてそれなりに実績を積んできたのだ。
 日頃身体を動かすことの少ない貴族の怒り任せの攻撃なんて、軽くかわすことができる。
 イオレッタが避けたことに驚いた様子の彼は、転びそうになるのを慌てて立て直した。
「たしかに、私は精霊と繋がることができます。でも、シャロンがいますよね? シャロンがいれば、ベルライン家は問題ないですよね」
「――黙れ! お前は、家のために役に立てばいいんだ! 今まで役立たずだったのを養ってやったんだ! その恩を返せ!」
 たしかに養ってもらったのは事実。一日三度の食事と、最低限の教育は与えてもらった。あくまでもそれは、婚約者に迷惑をかけないため。
 家族の愛はすべて、シャロンに注がれていたというのに、なんて言い草なのだろう。
 この人達には何も期待できない。それを改めて痛感した時、救いの手が差し伸べられた。
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