捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「「そこまでだ。何があったのかは知らないが、無理強いはよくないだろう」
 どこでこの状況を見ていたのか、割って入ったのはクライヴである。
「何者だ」
「俺か? B級冒険者のクライヴだ」
 彼は、家名は名乗らなかった。彼が名乗ったのは、冒険者としての名。
 クライヴの顔をじっと見たベルライン伯爵は、それでも彼の素性に気づいたようだった。
(……なんで、助けに来てくれたの)
 胸が痛い。
 自分だって、貴族の家系だというのに、イオレッタはそれを隠していた。イオレッタが家族に愛されないで育ったことを知ったら、クライヴが変わってしまうような気がして。
 シャロンは、目をうるうるとさせてクライヴを見ている。仮にも夫が隣にいるのに他の男性に目移りするのはどうなのだ。
 トラヴィスと比較したら、クライヴの方がたしかに立派に見えるから、気持ちはわからなくもないが。
 シャロンがクライヴに目を奪われていることにまったく気づいていないトラヴィスは、なおもべらべらと言葉を重ねる。
< 265 / 320 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop