捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
第八章 私は精霊使いじゃなくて精霊師です!
伯爵達との再会に、動揺し過ぎたかもしれない。翌日には家に戻ってきたけれど、落ち着かないことこの上ない。
(というか、むしろあれからクライヴさんの顔が見られないんだけど――!)
 思えば、いつだってクライヴはイオレッタを守ってくれた。
 最初の出会いから、現在までずっと。
 組合で冒険者に絡まれた時には、すぐに助けに来てくれたし、実家に連れ戻されようとしたイオレッタも守ってくれた。
(私が、まだ、伯爵家の娘だったらよかったのかな)
 そうしたら、まだクライヴと釣り合いがとれたかもしれない。
 あの家のことは忘れると決めたはずなのに――なのに。
 だめだめ、考えたって意味はない。あの家を捨てると決めたのはイオレッタ自身。未練がましいことを考えたってしかたない。
「あなた、なにさっきから頭を抱えて唸ってるのよ」
 気がついたら、ゼルマが空中からこちらを見下ろしていた。彼女の目が、なんとなく冷たいのは気のせいではないと思う。
「――だって」
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