捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 ゼルマがじぃっとこちらを見つめているので、全部白状させられてしまった。
 クライヴと自分とでは釣り合わないということ。クライヴを好きになってしまったということも。
「はあ――!」
 なんで、そこでそんなに強く長いため息をつくのだ。口を開こうとしたら、ゼルマにバタバタと手で煽られた。
「あのね、あなた今さらすぎ」
「今さらすぎ?」
「あなたがクライヴのこと好きだなんて、たぶん、みんな知ってると思うわよ?」
「みんなって!」
 イオレッタ自身自覚したのはつい最近だというのに、なんでみんな知っているのだろう。ゼルマはもう一度深々とため息を吐いた。
「好意がだだもれだったもの。クライヴがそこに座っているだけで、あなたピカピカしてたし」
 ピカピカしてたしって、イオレッタはランプではないのだが。というか、そんなにわかりやすかったのか。頬がじわじわと熱くなってくる。
「そりゃもうねえ、見ているこっちの方は若いわねーって微笑ましく見守るのと同時に、痒くて仕方なかったわよ!」
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