捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 魔力を対価に精霊と契約を結び、使役できる精霊使いは、このラタント王国では大変尊重される存在だ。精霊を二体、使役できるとなると、それだけで爵位がもらえるほど。
 ベルライン家にしても、ウィラード家にしても、代々有能な精霊使いを輩出してきた家系。
 特にベルライン家では、先々代、イオレッタの祖母にあたる当主の能力はすさまじかった。魔力を対価とせず精霊と契約できたほどである。彼女のような存在は、ラタント王国では精霊師と呼ばれ、尊敬されるべき存在だ。
 一方、イオレッタの母は、精霊使いとしての力を持たなかった。彼女に求められたのは、優れた精霊使いを生み出すために、力の強い精霊使いを家に入れて次の世代に血を繋げること。
 そこで白羽の矢が立ったのが、ベルライン家の分家出身である父だ。
 当時、父は別の女性と交際していたという。その女性との仲を裂かれ、母と結婚しなければならなかったのが余程苦痛だったようだ。
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