捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
第二章 母国を離れて、旅に出ましょう
ワイバーンが出没したという情報は、あっというまに組合の中で共有されることになった。
 一人で採取に向かうイオレッタを心配してくれる人もいたけれど、イオレッタ本人はそこまで不安にはなっていない。
「フェオン、周囲の警戒をお願いしてもいい?」
『マカセテー』
 イオレッタの要請に応じて姿を見せたのは、風の精霊フェオン。緑色の美しい蝶の姿をした精霊だ。
 イオレッタが、周囲を警戒する必要がないのは、普通ならパーティーメンバーで手分けしてやる仕事の大半を精霊にお願いすることができるし、必要ならばアルディに結界を張ってもらうこともできるからだ。
 そのかわり、こうやって姿を見せている間、フェオンはずっとイオレッタの魔力を使い続けている。
「今日は、リメラ草の葉とゴリンゴの根とあとなんだっけ?」
 朝、依頼を受ける時に書いてきたメモをちらり。あとは、ピスタラの花。いずれもこの近くで採取できる薬草だ。
 ピスタラの花は根ごと持って帰らないといけないから、けっこう気を使う作業でもある。
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