捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 交代で御者台に座り、時々休憩を取りながら、彼らの本拠地であるロシードへ向かう。
 彼らの本拠地であるロシードは、プラディウム王国の王都チェスローから馬車で二日ほどのところにあるそうだ。
 B級冒険者ともなると、王都で暮らす貴族から依頼を受けることも多々あるのだろう。
 夜になって野営の場所に決めたのは、街道から少し離れたところにある草原だった。同じようにここを野営の場にしたらしい旅人達が荷物を広げて、夜の準備をしている。
 食事の支度はイオレッタが中心となって担当した。御者台に座るのを、イオレッタは免除してもらっていたので。
 とはいえ、こんな場所なので、四人分の材料を鍋に放り込み、煮込んだら味付けをして終了。味付けもおおざっぱなものではあるが、イオレッタが持って来た調味料を加えることで深い味わいとなっている。
「――お、うまいな」
 最初にスープを口にしたクライヴがそうつぶやいた。こわごわと彼の様子をうかがっていたイオレッタはほっとする。
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