推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ

キラキラ御曹司

 『今年の新年会の目玉商品は、専務提供超高級ブランドダイヤのネックレス』
 まことしなやかにそんな噂を耳にしたのは、あと半日で今年も終わる、12月31日のお昼時だった。

「出たい出たい!絶対出たいー!」
社食で同期の平田芽愛(ひらためい)がスプーンを振り回して私に訴える。

「いいから芽愛ちゃん早く食べなよ」
「待って待って、こんなすごい話を聞いて咲月(さつき)はどうしてそんなに冷静でいられるの!」
 ほぼ逆ギレで芽愛ちゃんは大きな目を光らせ私を見つめる。美形を揃えているうちのホテルのベルガールチームの中でも群を抜く美貌の芽愛ちゃんは、目も大きければ動きも大きい。内気でインドア、何にしても考えすぎる私とは正反対だけど不思議に気が合って、同期で一番の仲良しだ。

「早く食べないと都築先輩に怒られるよ」
「もー!ちゃんと話を聞いてよ!」
「聞いてるよ。今日は忙しいからみんなピリピリしてるよ。VIPルームのエグゼクティブフロアなんて人が足りなくて、笑顔の下で引きつってるから」そう言いながら私も時間を気にしてしまう。
「毎年の事じゃない、ほらー聞いて聞いて!」
 芽愛ちゃんはどんなに忙しくても平常運転。この度胸と美しさが機転を利かせるベルガールに生かされているのかもしれない。
< 1 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop