推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ
「心がチキンだから、返事は後日でいい」
「うん」
「嫌なら今返事が欲しい」
「せっかちさんだ」私が笑うと琉希も笑った。
「前向きにお願いします」と、頭を下げるので私も頭を下げた。
 この48時間。ドッキリ企画のように、ありえない出来事が多すぎる。
 とっても嬉しい申し出だけど、なぜだろう……専務の顔が浮かんでくるのは。妙に専務に会いたかった。
 少し黙り込む私に「嫌だった?」って聞くので「違う違う、えーっと……告白つながりで、えーっと、弟のことを思い出して」と、ありもしない話をする私だった。自分で口を開きながら何を話すのだろうと驚いてしまう。
「弟?」
「うん。弟」
 ごめん弟。ちょっと名前を貸してもらう。私は開き直ったように琉希に聞いてみる。
「母から相談の電話が昨日きたの。私には3つ下の弟がいて、自信満々で彼女と結婚するつもりで付き合ってたんだけど、すっぱり振られてしまって」
「ケンカとか?」
「はっきりわからないけど、落ち込んで、彼女を思い出すと泣けてくるらしくて」あぁごめんなさい専務。私の手に負えないから人の意見をいただきたいのです。
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