推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ
「すいません専務。ごめんなさい、傷つけてしまって」
「いや、ひどいのは僕の方です。咲月さんにそんな思いを持たせてしまうなんて。許して下さい」
 ふんわりと優しく抱きしめられた。
「咲月さんと会って、彼女のことを思い出すことがなくなった。彼女の顔より咲月さんの顔が浮かんできて、僕はとっても幸せな気持ちになっていました」
「専務……」本当に?その腕の中で目が丸くなる。
「咲月さんを離したくなくて、彼女の話で引っ張ってしまった。すいません、僕が咲月さんを傷つけていた」
「いえ、大丈夫です」そんな、モブに謝らないで。
「咲月さんは泣いてくれた」
「えっ?」
 額を重ねて私の瞳をジッと見つめる。
 専務の瞳に私が映っていて、こんな私が専務を独占している気持ちになり不思議な気分だった。
「僕の情けない失恋話を聞いて泣いてくれた。夜のドライブで僕を応援してくれた」
「私の勝手な気持ちです」
「それがとっても嬉しかった」
 甘いキスが私を包む。
「僕は咲月さんに夢中です」
 甘い声が魔法のようだ。推しの専務はきっと魔法使い。平凡な私に甘い魔法をかけてくれる。
「咲月さんが大好き」
 ボタンがひとつずつ外されて
「僕には咲月さんしかいない」
 甘く深いキスを繰り返し
「咲月さんは僕から離れられない」
 身体を横たえて抱きしめられ、専務の指が素肌に絡みつき
「もう逃げられないんですよ」
 その唇が私の胸の先端を味わう。

 本当ですね。もう逃げられません。

 一夜限りのシンデレラでもかまいません。
 後からどんだけ泣いてもかまいません。

 今のこの甘い幸せに浸りたい私です。
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