絶対にずっと好きだと証明しましょう
ユーゴはそのりか子の浮気から一度はやり直したものの、結局1年後に別れた。
彼女が本当に求めているのは俺じゃないという結論に至ったそうだ。
りか子と別れた後のユーゴは大声で話すことも笑うこともしなくなり、2週間冷蔵庫に入れっぱなしで忘れていたキュウリのようにしおれていた。
けれど半年が過ぎるとようやく吹っ切れたのか、もとのうるさいほどに快活なユーゴに戻った。

それでも寂しいのだろう。
夕方になるとご飯に行こう、飲みに行こうと、樹と楓に頻繁に誘いのラインが入るようになった。
当日の誘いに樹はなかなか予定がつかない。
楓は残業があっても同じ会社にいるユーゴが「俺も仕事してるから終わったら連絡して」と待っていてくれるので(よほど寂しいらしい)、2人で食事をする機会が急増した。

「ユーゴさんて家で食事しないんですか?」

楓はユーゴとタイ料理の店でトムヤムクンのスープをすすっていた。
辛みと酸味のバランスが絶妙でスプーンが止まらない。

7月に入ってようやく梅雨が明け、じめじめした鬱陶しい天気から解放されたと思ったらいきなり猛暑に見舞われその暑さにげんなりしていた。
暑いときには辛いものに限るというユーゴのチョイスは正しく、冷えたシンハービールの喉越しも最高だ。

「たまにはするよ。でも誰かと食べたほうが楽しいじゃん」
< 70 / 116 >

この作品をシェア

pagetop