時をこえて、またキミに恋をする。
だから、そんなびぃにもわかるように言ってやった。


「あのとき、菅さんからびぃがいないって聞いて、正直…生きた心地がしなかった」


…同じだった。

俺が死ぬ原因となった火事の日の出来事と。


「都子姫がいない」


屋敷の者からそう聞かされたとき、焦燥感と絶望感にかられた。


俺はどうなったっていい。

姫さえ助かればっ…。


そう思い、俺は都子姫を助けにいった。


その当時の思いと重なって、気がつけばびぃを探しに火事の現場に戻ってた。


「たしかに桜華は、俺の命よりも大切なものだ。…だけど、それよりもお前の命のほうが大切に決まってんだろ」


びぃが無事とわかって、どれだけ俺が安心したか知らねぇだろ。

ほんと、心配かけさせやがって。


…俺はあのとき思ったんだ。


桜華がなくなるなんて考えられない。
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