茜空を抱いて
『………だったら、なんで?』



心まで凍りそうな沈黙。
私はそれを、怒りに任せて切り裂いた。



『なんで、なんで私に優しくしたの?私が子どもだから?散々その気にさせといて何??』



わかってる、わかってる。
自分があまりに幼いことを言ってるって、本当はちゃんと自覚してる。
それでも冷たく感情のない視線を向けたあなたに、私は当たり散らしてしまった。

ただ知りたかっただけだった。
あなたが何を思い、どうして私にこんなに寄り添ってくれたのか。
本当に、ただそれだけだった。


あなたを正面から睨みつけた、その時。



「………期待させてごめんね、アミ」



淡々と吐き出された、その言葉がすべてだった。

あっという間に崩れ去った今までのふたりの時間。
道を踏み外したのは、私だけ。
ユウは私の想いを、今この瞬間、鋭い言葉で断ち切った。



………意味わかんない。
それなら最初から、優しくなんかされたくなかった。



溢れそうな涙を奥歯の力で耐え、最後にもう一度あなたを睨みつける、そのまま階段を駆け降りる。
もう二度と、こんなとこ来てやるもんか。



こうして暖かい季節が近づく頃、私は初めてユウと喧嘩をした。


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