とある蛇の話
上履きを張り替えて、理央くんの後を追い廊下を歩く。
本の内容で見たとおりに、コンクリートで作られている建物だとゆうことを知り、ちょっとだけ嬉しい。
いろんなところに無機質なドアの中に、部屋があるなんて考えてみたら、ミニチュアをみているようで楽しい。
「これから、理央くんと一緒のクラスで学べるなんて嬉しいし、飛び上がってしまいたいくらい!!」
理央くんは苦悶な表情を浮かべる。
「お前、何いってんだ?俺と同じクラスじゃないんだぞ?」
「え?」
突然の報告に、足が止まる。
「おやおや。なんだか、騒がしそうなお客さんがやってきたぞ。みんなー!!」
理央くんにはない、聞き馴染みのない耳をつんざくような低い声が僕の耳が拾った。
振り向くと、黒い眼鏡をかけた勉学が得意そうないけ好かない男の子が立ってた。
その男の子先頭に、クラスの皆が笑った。
その笑顔は、よそ者を排除するような嫌な笑みを浮かべているような気がした。
どことなく胸が締め付けられる様に、苦しくなって萎縮した。
その様子を、この男の子は見逃さなかったようでーー。
「君、まさかビビってる?」
僕の眼を見て、はっきりとそう告げられた。
その発言を聞いた矢先に、クラスは爆笑の渦に包まれる。
ーーなんだか言葉に表せないけど……嫌な感じ………。
人間界の言葉で表すなら「屈辱」とでも言うべきだったのだが、僕はその言葉を知らないくらいまだ幼いこともあった。
だからこそ、血迷ってーー。
「ぼ……僕、怖くなんてないよ!!皆、会った人全員、友達だと思ってるから!!」
と綺麗事をこぼしてしまった。
「敬斗!!辞めろ!!笑い者にしようとしてるだろ!!」
クラスが囃し立てる雰囲気になっていた矢先、止めたのは理央くんただ一人。
「理央、そいつと友達なのか?こんなポンコツそうな奴がか?」
「友達で悪いかよ?」
「お前も共犯のくせに」
少し、理央くんの顔がピリつく。
え……共犯?
その言葉を聞いた瞬間、僕の中の堪忍袋の緒が切れてしまった。
「お……おい!!どこ行くんだよ!!」
「僕本来の、クラスだよ!!」
悔し紛れに放った言葉が、また爆弾級の爆笑の渦に包まれた。
「君のクラスは3年6組だ。あの落ちこぼれが集まるクラス。残念だね。ご愁傷さま!!」
「敬斗!!」
「理央くんのバカ!!もう知らない!!」
理央くんのクラスメイトに散々いじめられた後、僕は廊下を走る。
ーーまたいじめられたのに、やり返せなかった。
走りながら、涙があふれて止まらなかった。
屈辱を味あわせるために、理央くんは僕の事を利用していたのを、僕はこのとき知らなかった故に立ち回りに失敗した。
その事実は、現実世界の人間からしてみればやはり攻撃対象になりうることもある。
ーー理央くんなんて、もう知らない!!
僕は理央くんの姿が見えなくなるまで、教室へ走って向かった。
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