君にかける魔法
「美園さん、やっと書けたね」
「はい。」

私がなぜこのような役になっているのか。
不思議で仕方がない。


桜はまだ咲いていない。
冬が終わり、少し暖かくなってきた。

卒業式直前まで答辞の手直しをさせられるなんて。


この制服に袖を通すのも、もう最後。
胸元にはピンク色の花を付けている卒業生。

私は今日、高校を卒業します。










『答辞 卒業生代表 美園 萌桃』

「はい。」


近くに座っていたクルミが口パクで『ガンバレ』と言っていたのが見えた。

私は軽く頷き、ステージ上へ上がる。


すーっと深呼吸をする。

こんな大役、始めてすぎて緊張する…


「答辞、卒業生代表、美園萌桃。本日私たち卒業生○○○名は………」


あともう少しで終わる
早く読め、読むんだっ!


「令和○○年、3月○日。」

よしっ。


私が読み終わると、後ろが少しザワザワしているのが分かった。

とりあえず自分の席に戻ろうと振り返る。





うそ…






「とりあえず、そこ座っときなさい」
「分かった!」

星川先生は金髪の少女をとりあえず、1番後ろの席に座られた。

私の心拍数が上がる。
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