君にかける魔法
静まるカラオケボックス。

ただ聞こえてくるのはカラオケ会社のCMみたいなもの。

「もう2ヶ月くらいしかここにいれないとかさ…もう何度私は繰り返すんだろうなぁ…」

咄嗟に私はマイクを持っていた。

「私も、ハルカがいなくなるなんて、やだよー!!!っ」

はぁはぁっ…っ


2人で笑う。
ハルカが握りこぶしを作って天井の方に向け思いっきり突き上げた。

「思い出作るぞー!」
「おおっーー!!」

どこの運動会か、みたいな大声で笑って…

別れは突然。
出会えばいつか別れる時が来る。
でもきっと会える。
今はこの時間を楽しむことが1番大事なんだ。




カラオケを出ると、外は真っ暗だった。
時刻は21時を回っていた。
フリータイムとはいえ、長居しすぎたかな…
そんなことを思いながら、交差点でハルカと別れた。

人影が…

視線の斜め左、あまり利用する人がいない遊具のない公園に2人…

見覚えが…ある。

クルミちゃんだ。

じゃあ隣は?…。

「最近上の空って感じなんだ。藤堂は何か知ってるか?」
「少し…」

バスケ部の熊沢君だ。
ナツキの彼氏である。
なんでクルミちゃんといるの?
ナツキはこのことしって…

「誰がとは言わないけれど、ナツキ…」
「はぁぁ!?」

クルミちゃんが熊沢君に耳打ちをしていた。
聞き取れなかった。
2人は何を考えているの。
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