君にかける魔法
「ハルカ!」

昨日美容室に行くと言っていたなぁ。
切りたてのスッキリとしたショートヘアを靡かせながら、若葉 遥(ワカバ ハルカ)が手を振ってこちらにやって来る。

遥は中学からの親友だ。
春休みに入った直後に少し遊んだくらいで、残りはお互い家族旅行やアルバイト。
会うのがなんだか久しぶりな感じがする。

クラス替えなんてどうでも良いと思っていたが、親友と一緒だということに少しホッとする。

「モモと一緒でよかったー、私の席モモの後ろの後ろだから」
「おっけー。お昼はハルカのとこ行くね」
「了解!了解!」


先生がやってきた。
騒がしくしていた生徒も一斉に着席する。

「今年この奏伊市(カナイシ)に引っ越してきました、星川 佐月(ホシカワ サツキ)と申します。このクラスの担任になりました。よろしくお願いします。」

何名かのクラスメイトの視線がこちら側にむくのを感じる。
でもその視線の先は私ではないようだ。

「そこの星川 奈月(ホシカワ ナツキ)は、私の妹です。」

「やっぱり星川の…」
「どおりで美人だすげぇ…」


私の前の席だ。

チアダンス部部長・星川 奈月さん。
昨年の文化祭の時、1年生ながらセンターで踊っていてとてもカッコよかった記憶がある。
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