君にかける魔法
気づけばずっと見ていた。

あの日の真っ直ぐな眼差しを、私はたまに思い出してしまう。
今の日常に何も不満なんて無いはずなのに。

自分がこの生活に対する違和感を持っていること。
必死に誤魔化す毎日。


一層誰とも付き合ってなければ、
私かあなたが男子だったら、


何か違っていたかもしれない。


ミコが机の上に置いてくれたスマホを手に取る。
良かった。
デートが土曜日、大会が日曜日。
日にちが被っていたら、危ないところだった。

少し安心して眠りについた。






そしていつも通り朝はやってくる。
最近毎日が憂鬱だ。
息が詰まりそうな日々が続く。
誰にも言えない。

日に日に、訳が分からなくなる。
自分自身になのか、他人になのか。

苛立ちが沸き起こってくる。


沸点は突然超えた。



「モモ、今日どうしたの?」

相手からすればもっと分からない。
目の前にいる人が勝手に気分が悪いのだ。

この日は何故か1人になりたかった。
クルミは少し体調が悪く休みだった。
そう、ナツキと2人。

移動教室。
私は1人になりたくて、声をかけてくるナツキを無視して早歩きをする。

絶対普段の自分だったら取らない行動だった。
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