Cherry Blossoms〜思惑の交差点〜
一人でできないことも、みんなと一緒なら
「ええっ!?みんなのいる前でバラされたんですか!?」

すっかり日が高くなった頃、桜士は公安の部署で灰原十(はいばらみつる)に昨日の出来事を話した。十が隣で驚く中、桜士はため息をついて自傷気味に笑う。

「もうこれで、本田凌はお役御免だな」

潜入捜査先でもしも本当の身分がバレてしまった場合、捜査官は潜入先から離れることが基本である。ただ、今回はどこかの犯罪組織ではなく民間の病院に潜入していたことが幸運だった。犯罪組織に潜入していた場合、確実に桜士の命は奪われていただろう。

「そんなことより、今はこれだ」

桜士は目の前の紙を見つめる。イエティから送り付けられた「くれ」とだけ書かれた紙。Cerberus壊滅できるチャンスに公安は必死に暗号を解こうとするも、誰も解くことができていない。

「う〜ん、何でしょうねこの暗号……。「くれ」って街は広島にありますけど……。呉市に来いってことですか?」

「いや、それはあり得ないだろう」
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