Cherry Blossoms〜思惑の交差点〜
「一体どうしたんだろう……」

どこか嫌な予感を覚えながら、桜士は再びコートを羽織り、かばんを手にし、一花に指定されたカラオケ店へと向かった。



カラオケ店は、桜士の住んでいるマンションから車で約二十分ほどの距離にある。

「ここか」

カラオケ店の駐車場に車を止めようとした桜士は、カラオケ店の前に外国人の集団がいることに気付いた。しかも、全員見知った顔である。

「皆さんも、四月一日先生に呼ばれたんですか?」

駐車場に車を止め、桜士は集団に声をかける。先ほどまで一緒に働いていたヨハンは嫌そうな顔をしたものの、他の人はどこかホッとしたような顔をしていた。

「君も一花に呼び出されたんだね」

チリ出身の外科医であるクラウディオ・エルナンデスが声をかけ、桜士は頷く。ここにはeagleのメンバーはいるものの、一花がいる様子はない。

「GPSも反応してないんだ。カラオケに一花は来ていないんじゃないか?」
< 3 / 44 >

この作品をシェア

pagetop