魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

「あれ、はずれない!」

 しかも、なぜか腕輪は全くぬけなかった。

「もしかして、コレはずれないんじゃ! どうしよう、長袖着てればバレないかな? あ、でも、今日体育あるし!」

 朝から、大ピンチ! こんな目立つ腕輪なんてつけていてば、どうなるか!

「……あれ?」

 だけど、その瞬間、ガラス窓に映った自分の姿を見て、俺は目を見開いた。

 なぜなら、そこには、あるはずのものが、なぜか映ってなかったから。

 ──ドタドタドタドタ!!

「お父さん、お母さん、夕菜!!」

 瞬間、俺は、勢いよく階段を駆けおりると、朝食の準備をしていた、お父さんの威世 和彦(かずひこ)と、お母さんの威世 (かえで)と、妹の夕菜(ゆうな)に向かって、叫んだ!

「これ、なんに見える!?」

 そう言って、銀色の腕輪を指さす。すると

「何って、腕?」とお父さん。

「手首でしょ?」とお母さん。

「右手じゃないの?」と夕菜がいって

「だよな! ただの手にしか見えないよな!?」

 ポカンとして三人がそう言えば、俺は再び銀色の腕輪をみつめた。

(これ、俺にしか見えてないんだ……!)

 誰にも見えない銀色の腕輪。

 すごい!
 これなら、学校にもつけていける!

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