魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

魔界の掟


「あれー、倒しちゃたんだ!」

 だが、そこに、突然アランの声がひびいた。音もなくあらわれたアラン。

 そして、その後ろには、人間になったカールさんもいて、二人は少し驚いたようすで、近寄ってきた。

「アラン!?」

「すごいねー、ハヤト! まさか、グールを倒しちゃうなんて!」

「ぐ、グール?」

「さっきの、ガイコツ君のこと! 首だけの魔族でね。そこそこ強いんだけど、体がないと、何もできないんだ!」

 アランが、にっこりと笑う。なんとなくだけど、昨日と同じように、助けに来てくれたんだと思った。でも

「どうやって、ここが?」

「あぁ、レイヴァンが偵察してくれてるんだ。近くで魔族を見かけたら、教えてくれるんだよ」

 すると、窓の外から、真っ黒なカラスが一羽入ってきて、アランの腕に止まった。

 そうか、昨日、幹部たちに追われた時も、レイヴァンがアラン達に教えてくれたんだ。

「ありがとう!」
「カー!」

 俺がそう言うと、レイヴァンが一鳴き。

 しかし、あのガイコツ意外と強かったのか。ララが、やってけてなければ、今頃どうなってたか。

「あ、そうだ! アラン、ララがこんなに小さいなんて聞いてないぞ!」

 すると、ふと思い出して俺はアランに抗議した。
 でも、アランは、ん?と首を傾げたあと

「ありゃ、いってなかったね。最初は、みんな子供の姿なんだ。カールとシャルロッテも、僕がここまで育てたんだよ」

「育てた!?」

 正直、目ん玉とびでるくらいおどろいた。

 なにその育成ゲームみたいな感じ。
 まさか、こんなにカッコイイお兄さんとお姉さんの二人が、はじめは子供だったなんて!

「本当ですよ。アラン様に命を頂いたときは、私も、彼と同じくらいの年齢でした」

「え? 彼?」

 だけど、次にカールさんが言った言葉に、今度は、俺は首を傾げた。

「……彼って?」

「あれ、もしかしてハヤト、気づいてなかった? ララちゃんは男の子だよ」

「!!?」
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