「孤高の悪女」で名高い悪役令嬢のわたしは余命三か月のようなので、最期に(私の想い人の)皇太子の望みをかなえてあげる予定です。なにか文句ある?
 それに気がついているのは、わたしとエリーザだけ。エリーザは、さすがに「本の虫」だけあって歴史書やや資料に通じている。だから、誤りだらけの授業に退屈しているみたい。

 しかし、不思議なことにカサンドラは、先生の誤りだらけの質問にハキハキと答えている。もっとも、回答も誤っているけれど。

 カサンドラは、他の政治や経済や数学や物理学といった皇太子妃に必要? とツッコミたくなる授業も含め、どの授業でも完璧に答えている。

 すぐに気がついた。

 各先生たちって、いずれもシュナイト侯爵家所縁の人たちばかりだけど、とにかく先生たちはあらかじめカサンドラに質問する内容や勉強する項目を教えている、ということをである。

 ついでに質問する内容に対する答えも教えているに違いない。

 それだったら、お間抜けバカのカサンドラでも堂々と正解を言えるにきまっている。

 数日間ですべての授業を受けてみた。勉強だけではない。テーブルマナーやあらゆる公の場を想定したマナーといったことから乗馬や球技、カード遊びやチェスまで。そのどれもがカサンドラの為の授業なのである。

 正直、バカバカしくなってきた。
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