雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】

雨宮課長と仙台出張

「中島さん、仙台は日帰り出張の予定だったが、台風の影響で新幹線が動かないようだ。今夜はどこかに泊まらないと」
 雨宮課長が困ったようにこちらに視線を向ける。
 なんですかその嬉しい展開。

「ビジネスホテルの客室が一つしか空いていないだと!」
 ホテルのフロントで雨宮課長がさらに困ったような顔をする。

 それってつまり、課長と同室って事? 
 なんて都合が良過ぎる展開なの。

「課長、あの、私大丈夫です。雨宮課長が嫌じゃなければ」
 ぽっと赤面しながら答えると雨宮課長が「嫌な訳ないだろ。しかし俺も男だ。どうなっても知らんぞ」と言った。

 きゃー。課長。襲ってくれるの!

「はい。私もどうなってもいいです」
「中島さん」
「雨宮課長」
 課長と見つめ合い、唇が重なりそうになり……。

「中島さん! 中島さん! 仙台に着いたよ」

 その声で現実に戻された。

「やっと起きた」
 グレーのスーツ姿の雨宮課長が苦笑いを浮かべる。
 ここは新幹線の車内のよう。窓の外に仙台駅が見える。

 東京駅から新幹線に乗った事を思い出した。
 でも、乗ってからすぐに記憶がなくなる。

 もしかして私、仙台に着くまで寝ていたの?
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