雨宮課長に甘えたい  【コンテスト用】
 なんて夢を見たんだろう。台風で帰りの新幹線がなくなり、雨宮課長とビジネスホテルに泊まるだなんて。きっと願望がそのまま夢に出てしまったんだ。

 雨宮課長の隣でそんな夢を見てしまって恥ずかしい。せっかく雨宮課長と二人きりで新幹線だったのに、ずっと寝ていたなんて、もったいない。こんな機会、滅多にないのに。

 昨夜あまり眠れなかったせいだ。雨宮課長と日帰りとはいえ出張だと思ったら、緊張して眠れなかったから。

「中島さん、こっち」
 人が多い仙台駅構内を迷う事なく雨宮課長が進んでいく。
 課長の背中を見失わないようについて行くのでやっと。課長、歩くの早い。

 しっかりしなきゃ。と思った所で、いきなり人とぶつかった。
「す、すみません」とぶつかった人に謝っていたら、雨宮課長の姿を見失う。

 嘘……。課長、どこにもいない。
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