ヒーロー
【1989.12】
たとえ約束はなくても、冬真とずっと一緒に居る。それが当たり前だった。不安なんてなかった。
あの時までは――――。
同じ大学の先輩に何度も言い寄られた。なんでそんなことになってしまったのかも分からず、断り続け、それを助けてくれたのは、いつも冬真だった。
冬真とのペアリングを見た時、激高した先輩から助けてくれたのも冬真だった。
冬真は小さい頃から、いつも、いつも、私のヒーローだった。幼稚園の時も、小学校の時も、中学も高校も、いつも私を見ていてくれて、何かあれば駆けつけてくれた。
『離れてるのが怖いね』そんな言葉を冬真から初めて聞いた冬。
いつも私を守ってくれていた、その手が離れた、12月23日。