人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
そして、その日の夜もいつもと変わらず就寝する予定だったのだが、突然の知らせが入ってきた。
「イレーナさま! 陛下がいらっしゃるそうです!」
「えっ……?」
「しかも、すでにこちらへ向かっています」
「嘘でしょ。だって……」
何の予告もなかったのだ。
しばらく会っていないので油断していた。
今夜もきっと会えないだろうと思っていたので、イレーナはまったく準備をしていない。
「急いでお着替えとメイクを……」
「間に合わないわ」
「でも……」
慌てるリアに向かってイレーナは諦めたように笑った。
「だって、もういらしているもの」
部屋の扉が開いて、侍従と護衛を引きつれたヴァルクがすでに現れていた。
久しぶりに見た彼は変わらず元気そうだ。
「息災だな」
「陛下もお元気そうで何よりです」
「ナグス王国でこのような菓子が流行っているようだ。町で商人が売っているのを手に入れたぞ」
侍従のテリーが持っていた箱を開けると、そこには金の飴細工で作られた花飾りがあった。