人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています

 まずは帝国議会の者たちがそれぞれ国の治安や財政、他国勢力についての報告があり、話し合いがおこなわれた。
 当然のことながらイレーナはただ黙って耳を傾けるばかり。
 しかし、アンジェは時折、意見を述べた。
 外戚であるスベイリー家の一族が出席しているのもあるが、そこはやはり彼女自身の立場も影響しているだろう。

 対するイレーナには味方がひとりもいない。
 異国の地にひとりで嫁がされた姫の立場はこれほどに肩身の狭いものなのか。
 明るくはきはきしたアンジェと対照的に、イレーナは鬱々とした気分だった。

 会議が終盤に差しかかる頃、ヴァルクが突如その話題を口にした。

「最後に民のための学校の建設について議論したい」

 イレーナはどきりとしてヴァルクを見つめた。
 すると彼は余裕のある笑みをイレーナに返す。

「この提案はここにいるイレーナ妃によるものだ。私はこの件について皆と議論を交わしたい」

 皇帝陛下の言葉に周囲がざわついた。
 イレーナは感激のあまり震える。

(まさか、覚えてくださっていたなんて)


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