今はまだ、折れた翼でも
それで、この先の細い裏路地に望くんがいて———。



ダンッ!


……なに、今の音。

裏路地の方から、確かに音が聞こえた。

なにか、あったのかな。


ひっぱられるかのように無意識に走り出した。

裏路地に入り、息を整えながら歩く。


…………え。


10mほど歩いたところで、思わず私は足を止める。


狭くても、暗くても街灯がなくても、分かる。



「の、ぞむ、くん……!」



私は絞り出すように声をあげる。

高い塀にうなだれてもたれるように座り込んでいたのは、まぎれもなく望くんだった。

私はそばにしゃがみ込む。俯いていて、どんな顔をしているかまでは分からない。だけど。
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