今はまだ、折れた翼でも
私は、みんなが出かけている午後3時過ぎにこっそり家を出た。

私、わがままだから。……会いたいって気持ちにうそをつけなくて。

ごめんなさい。……ごめんなさい。


私は太陽の照るこの真夏に薄いカーディガンを羽織って外に出た。

この時間なら、学校にいるのかな。

私はそう思って、あの細い裏路地を抜けて学校へ向かった。


でも、いつまで経っても望くんは校門に現れなかった。

どうしてだろう。学校、来てないのかな。

私が知らないうちに見逃しちゃったかな。


横を通り過ぎるのは、望くん以外の生徒。

私服で、しかも3日も来ていないと、なんだか不思議な気分だ。

まるで、別の学校に来たみたいな。


近くにある公園の時計が4時を指し、家を出てから一時間経っていることを知らせる。

……もうちょっと。あと15分、待ってみよう。
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