今はまだ、折れた翼でも
6月のある日、俺はゴールデンウイークあたりに志望校を決め、勉強をしていた。


俺がそのとき一番目指していたのは、藤咲高校だった。

藤咲高校は近所で通いやすいし、なにより偏差値が高い。目標は高いほうがいいと父さんから勧められた学校。

この前受けた模試では見事にA判定で、これならA判定である藤咲高校に受かるかもしれないと思っていた。



「へえ、お前、藤校受けるんだ。えーなになに?えっ、A判定っ!?やっば、すげーじゃん望!」



机に向かっていた俺の手元を覗き込みながら、翼が叫ぶ。

ほめてもらえたことがうれしくて、頬が緩んだ。
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