今はまだ、折れた翼でも
それから私たちは、いくつかの話をした。
白岩くんの誕生日は6月6日。身長は高いとは思っていたけれど、178センチもあるなんてびっくりだ。
155センチくらいの私とじゃ、頭一個分も違う。
出身中学は、ここから少し離れた場所にあるみたい。市外らしく、聞いたことのない学校名だった。
「私の出身中学は市内にあるんです。高校とも近いんですよ。あ、そういえば、白岩くんの通っている高校って……」
私がそう言おうとしたとき、言葉をさえぎるように一階のほうから大きな声が聞こえてきた。
「えーまーちゃーん!」
この声は、お母さんだ。
「とりあえず、一階に降りてもいいですか?」
私が聞くと、白岩くんは「ああ」と一言つぶやいた。