今はまだ、折れた翼でも
本当は俺も、北田高校の生徒だ。受験に合格して、この春から通うはずだったんだ。制服を着て。

でも、それは出来なかった。無理矢理受験させられて、入学させられた高校になんて通いたくなかった。

プライドが高いとか、そういうことじゃないんだと思う。多分。

ただ、嫌だったんだ。自分の意思に反して『高校に通う』というレールをつくりその道を進ませようとした母親に従う、その行為が。


入学式は無断欠席した。だから、受験からそれきりだ、本当に。

俺の同級生は、映茉は。今この校舎の中で授業を受けているんだろう。


あの町だけじゃない。この学校に、同級生に置いて行かれて取り残されているのは、俺もそうなんだ。




< 46 / 198 >

この作品をシェア

pagetop