今はまだ、折れた翼でも
その次に回ったのは、手作りの小物のお店。

雑貨を取り扱った屋台が集められた道があって、私くらいの年齢の女性がとても多いように思った。

売られているものは、どれもすてきなものばかり。

可愛らしいストラップや指輪。手縫いと思われる小さなうさぎのぬいぐるみなど。

私の大好きなセキセイインコの髪飾りが、特に可愛かった。



「見て見て、これかわい~っ!」



品物を眺めていると、隣に大学生くらいのカップルがやってきた。

彼女さんと思われる人が指差したのは、いるかのプラスチック製のストラップ。

小さめの浅いかごには二匹のいるかがいて、青色とオレンジ色。きらきらしていてきれい。


すると、奥からエプロンを着た店員さんと思われる人が出てきた。



「それ、二つで一つのものなんです」


「二つで一つ、ですか?」



彼女さんがそう問いかけると、店員さんはにっこりと微笑む。

そして、二つのいるかを手に取った。



「はい。こうすると……」


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