今はまだ、折れた翼でも
あの原っぱからは、約20分くらいで家に着く。

お母さん、もう帰ってきてるかな。いや、さすがにそんなに早くはないかな。

晃成くんは今日は夜まで帰らないみたいだから、案外家には今誰もいないのかも。ちなみに、おじいちゃんとおばあちゃんは娘であるお母さんの妹の家族と絶賛旅行中だ。

そんなことを考えながら、角を曲がったとき。



「わあっ」



とつぜん、身体に衝撃が走った。驚いて、思わず声をあげる。



「す、すみませっ……!」



あわてて謝ろうとして、反射的に閉じてしまった目を開けた。

すると、目の前にいたのは。



「鳥越じゃないか。それに…………白岩」


「えっ」



なんと、担任の山川先生だったの—————。




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