浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】

さらに彼女はとても誠実で、俺がやんわり口説いても絶対に乗らなかった。

そして3月も終わりに差し掛かった頃、水姫が彼氏の浮気が原因で揉めてしまっていると教えてくれた。

これはもう、俺にとっての最大のチャンスだ。
少々強引かとも思ったが、彼氏の前で「水姫は俺と付き合っている」と伝えた。

さらに19時予定の父との会食に彼女にも参加してもらい、結婚したい意思を伝えた。
水姫は終始緊張し驚いていた様子だったけれど。

水姫は俺の気持ちにしっかりと応えてくれ、それ以降、さらに愛おしく思える。


水姫と愛し合ってから約1ヶ月が経った4月下旬。　

あれ以降、水姫との時間は確保できずにいたが、今日もきっと、笑顔で俺のことを待ってくれているはずだ。



「あ、桜川先生。　おはようございます」

「……え？　花谷…さん？」

「はい。　今日から桜川先生の秘書を担当します、花谷　麗華です」


突然のことに、驚きを隠せない。
今日、秘書室で待ってくれていたのは水姫ではなく、脳外科医を担当しているはずの花谷さんだった。

なぜだ？　俺はなにも聞かされていない。


「水姫は……水姫はどうした？」

「それは……直接医院長からお聞きなさっていただけませんか？　私からは、お伝えすることができませんので」