浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
想定外の人物名を出され、肩をがっくりと落とす。

平佐先生と言えば、俺が研修医時代にお世話になった先生だ。 脳外科の先生だったはずだけれど、整形外科医である俺にいったいなにか用があるのだろうか。


「用件は、私は存じ上げません。 ただ、桜川先生との面会を希望されておりまして」

「わかった。 とりあえず、外来が終わった後に時間が作れるよう調整しておいて、平佐先生に連絡しておいて欲しい。 そんなに長い時間面談はできないことも、合わせて伝えておいて」

「わかりました。 そのように伝えます」

「頼んだよ」


ただでさえハードスケジュールな今日。
かろうじて時間が取れるとすれば、外来が終わってオペが始まるまでの30分程度だ。

けれど、研修医時代にお世話になっていた手前、簡単に断ることができないのも事実。

水姫ではなかったのが残念ではったが、その気持ちを隠しつつ、俺は外来へと向かった。

* * *

「久しぶりだねぇ!! 桜川先生!」

「お久しぶりです。 平佐先生もお元気そうで」


そして午後。 焦る気持ちを抑えつつ、花谷さんが準備しておいてくれた応接室で、平佐先生との面会が始まった。

軽くあいさつを交わしてから、俺は椅子に座る。
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