浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
それで昔は〝親の七光り〟とよく言われたけれど、そうではない。
俺は俺なりに下積み時代を経て、今こうして整形外科医として必要とされているのだから。


「すみません、オペまでに少し時間がありそうですので、軽く食事をしてきてもよろしいでしょうか?」

「あぁ! 構わない。 今から長時間、手術に向き合ってもらわないといけないからね。 売店も、食堂もあるから、自由に使うといい」

「ありがとうございます。 そうさせていただきます」


親切に教えてくれた森北先生にペコリと軽くお辞儀をしてから、医局を出る。
まさに森北先生のおっしゃる通りで、午後から長時間の手術がある。 手術の合間に時間はなく、今のうちに軽くなにか口にしておきたい。

1階にある売店でおにぎりでも買って食べておこう。

院内にある案内板に従い、売店に入ろうとしたときーーー。


レジに並んでいる1人の女性の後ろ姿に、俺は釘付けになってしまった。


忘れるはずもない、その女性の姿は2ヶ月前よりも少しふっくらしている様にも見える。
……俺がこの2ヶ月間、俺がずっと探していた人だ。

今ここで彼女に話しかけなければ、もう会えなくなってしまうような気がしてならない。


「水姫……?」
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