浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
そう言われカレンダーに目を向けると、確かに〝おばあちゃん病院 9:00~〟と黒字でデカく記入してある。

おばあちゃんの病院とは、人工膝関節の手術の定期フォローのこと。
手術後、人工関節にした部分が異常を起こしていないか、レントゲンを撮って確認しなければならない。

祖母が人工関節にしたのは約3年前だけれど、半年に1度のペースで手術をした大牟田病院へ通っている。


「私もお父さんも、仕事の都合がつかないのよ」

「えぇ……私、妊婦だよ?」


なんて、都合のいい様に言ってみる。
別に行きたくないわけじゃなんだけど……ちょっと遠いんだよね、おばあちゃん家まで。

桜川病院からだとそんなに遠くなくてよかったんだけど、実家からだと少し距離がある。

暑くなければ喜んで行くけれど、暑いしなぁ……。


「いいじゃないか。 たまにはおばあちゃん孝行してこい」


今まで黙って朝食を食べていた父が、横から口を挟みだした。
……こんなときばっかり口挟んで。 うるさい父親だわ。


「うーん。 わかったよ。 9時からで間違いないよね?」

「そうよ。 お願いできる?」

「うん、いいよ。 行ってくる」


渋々了承すると、私は歯磨きをしに行くため席を立った。
まぁ……ここのところ、あんまり外出していなかったから、気分転換になるかな。

行き先が病院っていうのがあれだけど。
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