再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 リューが驚いたようにこちらを振り返り、私は慌てて曖昧な笑みを返す。

「あ、はは」
「……あー、コハルとは知り合いだったか?」

 リューがそう貼り付いたような笑顔で訊くと、エルはにこにこと答えた。

「知り合いっていうか、7年前に一緒に旅をした仲、まぁ、元パートナーってやつだよ。ねぇ、コハル」
「え、えーっと」

 確かに間違ってはいないけれど、その言い方はなんだか余計な火種を生む気がして、私は浮かべた笑顔が引きつるのを感じた。

「そのコハルと竜帝くんが結婚すると聞いてね。居ても立ってもいられなくなって、はるばるこうして来てしまったんだ。いや、本当におめでとう」
「それは、わざわざ御足労痛み入る」
「あ、ありがとうございます」

 リューの後に続けてお礼を言う。

「それで手ぶらもなんだし、ちょっとしたお祝いの品を持ってきたんだ」

 彼は懐から小さな箱を取り出し、私を見た。
 
「コハルに」
「えっ」

 そうしてエルはリューの傍らをすり抜け私の元へとやってくる。

「はい、おめでとうコハル」
「あ、ありがとうございます」

 おずおずとその繊細な装飾の施された小箱を受け取る。

「開けてみて」

 そう言われて開けてみると、中には綺麗なブローチが入っていた。
 まるでエルの瞳のような翡翠のブローチだ。
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