再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「あ、あの、リューは」
「陛下はコハル様を探しに行かれて」

 それを聞いてやっぱりと思った。
 翼を有した姿でバルコニーに現れたリュー。彼は私を探してくれていたのだ。
 でも……。

「私もお止めしたのですが、やはり行き違いになってしまわれたようですね」
「それが、今ちょっと前にバルコニーに現れて」
「!? それで、陛下は」
「でも、何も言わずに塔の方へ飛んで行ってしまったんです」
「塔へ!?」

 セレストさんは大きな声を上げ、それから重い溜息を吐きながら眉間の辺りを強く押さえた。

「そうですか……」
「塔に、何かあるんですか?」

 その意味深な反応が気になって訊くと、彼はゆっくりと顔を上げ言いにくそうに口を開いた。

「……陛下の、瞑想部屋がございまして」
「瞑想部屋?」
「というのは表向きで、つまりは陛下がお一人になりたいときに籠られるお部屋です」

(一人になりたいときに籠る……?)
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