再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
視線を受けたカネラ王子がパチパチと目を瞬く。
「恨む? なんで俺が聖女さまを?」
「ほらね? だからコハルは素直にあの子の気持ちを受け取っていいんだよ」
言われてもう一度見下ろすと、女の子はまだ笑顔でこちらに大きく手を振っていて、なんだか鼻の奥がツンとしてちょっと涙が出そうになってしまった。
「……エル、ちょっとの間だけ魔法解いてもらっていい?」
「勿論」
今度はローサも止めなかった。
私が姿を現し大きく手を振り返すと、女の子は少し驚いた顔をしてから嬉しそうにぴょんぴょんとジャンプしながら両手を振ってくれた。
もしかしたら、あの子の家族の誰かがクレマ王子の街の誰かを傷つけたかもしれない。
もしかしたら、あの子の家族は私のことを恨んでいるかもしれない。
でも今は、エルの言うように素直にあの嬉しそうな笑顔を受け取ろうと思った。