再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
やっぱり、この温もりや匂いはリューに間違いない。
再びこの世界に召喚されて、竜の城で暮らし始めてからまだひと月ほどしか経っていないけれど、その短い間で何度この腕に、この温もりに抱きしめられただろう。
だから、間違えるはずがない。
「はい。だから、一緒に『竜の国』に帰りましょう」
「コハル……っ」
やっと、彼が強く抱きしめ返してくれた。
そのことが嬉しくて、私ももう一度彼を強く抱きしめる。
「コハル、会いたかった」
「リュー、それはこっちのセリフです。ここまで来るのにどれだけ大変だったと思ってるんです」
「ずっと、ずっと待っていたんだ。コハルが居てくれれば、俺は……」
「リュー、わかりましたから、そろそろ……」
皆の視線を感じて、さすがに少々恥ずかしくなってきて彼を見上げて気付く。
彼は私ではなく、私の背後にいる皆の方を見つめていた。
――酷く、冷めた眼で。
「だから、邪魔な奴らは要らない」