再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第83話
――ありがとう。聖女よ――
魔王から解き放たれた竜帝、リューのお父さんは目を覚ますと私に優しい微笑みをくれた。
はじめて見た竜帝の笑顔はとても素敵で、リュー皇子の面影もあって、だから今でも鮮明に憶えている。
そんな彼を死に追いやったのは、私。
なぜ気付かなかったのだろう。
リューから竜人族も魔族だと聞いたときに気付くべきだったのに。
いや、お父さんが5年前に亡くなったと聞いたときに、なぜ私は自分のせいだとは欠片も考えなかったのだろう。
……リューは、知っていた……?
知らないはずがない。
彼は自分も魔族だと話していた。
リューは知っていたのに、私を責めるようなことは何一つ言わなかった。
それどころか彼は、私が気付かないように、隠してくれていた……?
「リュー、ごめんなさい、私……っ」
「何を謝る? コハルは何も悪くないぞ」
お父さんによく似た優しい笑顔で彼は言ってくれる。
でも、今の彼は……。