偽る恋のはじめかた
想い続けた相手と両思いだと知ったらとても幸せなはずだった。
・・・・・もちろん嬉しかった。
嬉しかったんだ、けれど・・・・・・、
椎名さんから、この関係は終わりだと告げられると、今までに感じたことのない苦しい気持ちが込み上げてきた。
自分の気持ちが把握できなくて、戸惑うことしかできなかった。その間に、椎名さんは俺の前から去っていくから、寂しくて、悲しくて、苦しくて、感情の大渋滞で余計にわからなくなってしまった。
ただ一つ、わかっていた感情は
椎名さんを引き留めたい。
その想いが心を支配していた。
叫んでしまったのは衝動的で、このまま終わりにしたくないと心の底から思ったからだ。